「誰に食わせてもらってると思ってんだ」の奥にあるもの

たまたま流れてきたスレッズの投稿で、夫に「誰に食わせてもらってると思ってんだ」と言われた妻の話を見かけました。

このセリフ、ドラマなどでも出てくる、ある意味典型的な「夫の暴言」です。

 

実際に言う人がどれくらいいるかはわかりませんが、ありそうなセリフであるだけに

「それは絶対言っちゃダメ!なやつ」と自戒を込めている方もいると思います。

 

今日はこの良し悪しではなく、こう言いたくなってしまう男性の気持ちをちょっと翻訳してみたいと思います。

我慢の上に我慢を重ねている

「誰に食わせてもらってんだ」

と言う人は、おそらくすごく我慢して働いているのだと思います。

 

家族を養うために稼がなければならない。

これは男性にとって非常に重要なビリーフ(無意識の信念)です。

 

それは真っ当な責任感でもあり、もっと奥深くは愛でもあるのですが、

しかし過剰にこの考えに囚われることで、自他に重い縛りを強いてしまうリスクも孕んでいます。

 

この責任感ゆえに、仕事が辛くても、我慢を強いられる職場でも、文句も愚痴も弱音も言わず、毎日毎日耐えて会社に行く。

 

しかも男性は「男は泣くな」「感情を出すな」と教育されてきた歴史があります。

「辛い」「嫌だ」と言えない、それ以前に「感じない」ところまで感情に蓋をして育ってくる男性がとても多いです。

心理学で言う「抑圧」。

感じない方が義務を粛々と遂行できるというメリットがあります。

 

考えてみれば、かつて兵士として戦場に立たなければならなかった時代から、男性はそうやって感情を切り離すことで生き延びてきたのかもしれません。

それほどに根深いものなのです。

 

本当に言いたいことは別にある

ともあれ、そうやって我慢に我慢を重ねて帰ってきたところに、奥さんが機嫌悪そうだったり、いたわってもらえなかったり、ポンポン物を言われたりする。

さらに「お前はずっと家にいるのか」という、変な嫉妬も生じます。

我慢してきた人ほど、相手が「楽をしている」ように見えてしまう。

そこでつい出てしまう

「誰に食わせてもらってんだ」。

 

これを翻訳すると、こうなります。

「俺だって辛い中、家族のために頑張ってるんだよ」

「本当はしんどいんだ」

「毎日我慢してるんだ」

 

さらにその奥には、

「だからちょっとは、この気持ちをわかってほしい」

ここが本丸です。

 

頑張っていることを「そうだったのね」とわかってほしい。

労ってほしい。

「ありがとう」と言われたい。

もう少し敬意を持って受け入れてほしい。

 

しかし男性は、こんなことは口が裂けても言えません。

言えないどころか、そんな自分の気持ちを自覚すらできない。

だから一番表面に出てくる言葉が、あの傲慢なセリフになるわけです。

 

妻の側にも言えない気持ちがある

かといって、「夫の気持ちをわかってあげるべきだ」とも言い切れません。

妻の側にも、言えない気持ちがたくさんあるからです。

 

小さい子どもを抱えて、ずっと家にいる閉塞感。

手伝ってくれる人がいない。わかってくれる人がいない。

世の中から取り残されているような焦り。

 

「家にいるから楽」なんて、そんなものではありません。

夫は仕事仕事で家のことはやらない。

帰ってきてもどっかり座るだけだったりすると、やはり妻の側も我慢を溜めていくことになる。

 

彼女もまた、わかってほしいのです。

子供を思い、家族を思い、これだけがんばっている。

それだけの気持ちを持っていること、しかし時々しんどくなることもあること。

そんなちょっとしたネガティブと、その奥にある本当は、愛。

そんな自分の気持ちの色々を「そうか、そうだったんだね」と理解し、労ってほしい。

 

しかし、ここまで自身の気持ちを自覚できている人もなかなか少ないのです。

イライラだけが表に立って、不機嫌になってしまう。

 

つまりこの二人の問題は同じところにあります。

 

1.自分の気持ちを自覚しきれない

2.それを伝えきれない

3.伝えられた気持ちを受け止められない

 

「気持ちのコミュニケーション」という回路が、すっぽり抜け落ちているのです。

 

 

気持ちのキャッチボール

私たちは、ネガティブな感情の扱いに慣れていません。教わってもいません。

だから、ないことにするか、我慢するしかない。

我慢をためてためて……

ある時突然ドーン!!と噴火。

大事にしたかったはずの家族の空気はぶち壊れ、後から自己嫌悪。

 

この悪循環はどうしたら止まるのだろうか?

それが、

 

1.自分の気持ちを自覚する

2.それをニュートラルに伝える

3.伝えられた気持ちを受け止める

 

という3段階の訓練です。

 

自分は本当はこういう気持ちなんだ、とまずは自分で自分の内側を感じて自覚できる。

自覚して、まずは自分が自分自身を受け止める。

これは訓練です。

 

そして、相手にぶつけるのではなく「私、こうなんだ」とニュートラルに伝える。

言われた側も、拒絶せずに「そうなんだね。それも無理もないよね」と一旦受け止める。

これも訓練です。

 

そう、この3段階は、訓練次第でできるようになることなのです。

 

 

本当に、まずはそれくらいからでいいんです。

これは何も、夫婦だけの問題に限りません。

もちろん親子でも同様です。

 

グローブなしでボールを投げ合えば、ぶつけ合うか叩き返すかになって決裂します。

でもグローブをつけて、まずは受け止める。

そんな気持ちの(特にネガティブな気持ちの)ゆるいキャッチボールができる関係になれたら。

ちょっとしたすれ違いで決裂することは、少しは減ってくるのではないかと思っています。

 

自覚する・伝える・受け止める

この力が優しく循環するご家庭が、少しでも増えたらなあ・・と、私は願っています。

 

 

新しいメルマガ。登録よろしくお願いします。↓

 

 

この記事を書いた人

アバター画像

大塚 あやこ

経営者の認識変容ナビゲーター
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社 代表取締役
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京藝術大学作曲科卒業。演奏家・作編曲家として約20年、第一線で活動した後、人生の大きな転機を経て心理分野へ転向。2013年に心理カウンセラー/講師として開業し、個人相談、講座、企業研修などを通じてのべ3,000人以上の変容に携わってきた。

悩みや停滞の表面ではなく、その奥にある“無意識の前提”に着目し、根本原因に素早くアクセスする独自メソッド 「ビリーフリセット®」を確立。人がどのような認識で世界を見ているのかを見抜き、その変化を通して、存在と現実の両方を動かしていくアプローチを行っている。

わかりにくい心の構造を論理的に言語化する力と、本質を捉える俯瞰力・洞察力に定評があり、近年は特に経営者・リーダー層から高い支持を集めている。個人セッション、講座、企業研修のほか、後進育成にも力を注いでいる。
Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は、登録者3万人超の常時ベストセラー。

ビリーフ無料診断

「どうして私こうなっちゃうの?」という悩みのパターンには原因があります。

その謎を解くカギが「コアビリーフ」。

あなたに入っているコアビリーフを簡単診断。下の画像をクリックして、チェックしてみてください。

【BLC】ビリーフリセット・リーダーズ講座11期

これだけやってきたのに、なぜ安心できないのだろう。その答えは「やり方」ではなく「在り方」にあった!リーダーの「存在力」が開花する8ヶ月。5月〜大阪開催。

動画で学べる「話の聴き方」講座

オンライン学習サイトUdemy(ユーデミー)で常時ベストセラー

◎人の話が楽に聴けるようになる【はじめての傾聴】カウンセラーが現場で使っている「話の聴き方」

「俯瞰力」をつけてパフォーマンスを上げる

オンライン学習サイトUdemy(ユーデミー)
ブレないメンタルで現実を切り開く【ロジカル派のためのマインドフルネス】