「ありがとうって言われたい」は「やりたい」こととはちょっと違う

「自分のやりたいことはなんだろう?」
「どんな仕事を自分はしたいんだろう?」
って考えはじめること、ありますね。

その時に
こんな気持ちが出てくることもあるでしょう。

ありがとうって言われたい
笑顔になってもらいたい
感動させたい

そう思うとすごくワクワクする。
だからきっと
これが私のやりたいことなんだ!
って。

それで
カウンセラーとか援助職に
なりたくなったりする人もいるかもしれないけど

うん、わかるけど。
すごくわかるけど。
もちろんそれも一つの手がかりなんだけど。

でも「ちょっと待って」なんだ。
もうちょっと考えてみたい。

「ありがとう」も
「笑顔」も
「感動」も
相手のことだ。

自分が「やる行為」じゃないんだよね。

うまくしたら自分が相手から
「もらえる」ことだよね。

つまりそれって
自分が他人から「もらいたいこと」。

自分が「やりたいこと」とは
違うんじゃないかなーって思うの。

「やる」っていうのは
自分がする行為のことだから。

「ありがとう」も
「笑顔」も
「感動」も

人の反応という「結果」だね。

そこの区別に
気がついてみるといいと思います。

 

それほど今の自分は
人の反応がほしいということ。

人から「得たいもの」がある
ということ。

その「得たいもの」のために
何かをしようとしていること。

「これをしたい」という行為そのものよりも
「これをするから、それをください」という
渇望の方が上回っている。

それを認めるのは
ちょっとしんどいかもしれないけど
けっこう大事なところかもね。

 

その裏には、
それを「もらえてない」今への
飢餓感がないだろうか。

こんどこそ
それをもらいたいという
欠乏感がないだろうか。

それを得れば
自分の価値が埋まるんじゃないか・・・
何かを取り返せるんじゃないか・・・

そんな気がしていないだろうか。

ならばそれはもしかしたら
本当に「やりたいこと」とは
違っているかもしれない。

仮にその「得たい」のために
やりはじめたとしたら

大切なお客さまを
自分の「得たい」のための
エサにしてしまう危険がある。

自分の根源的な無価値感を埋めるための
道具にしてしまう危険がある。

 

だから、特に
カウンセラーなどの援助職を志す人は
人の心の繊細な領域に関わるからこそ
無自覚に人を道具にしてしまうことの
危険を知らなければいけない。

だからこそ自分自身の

無価値感
虚無感
欠乏感
飢餓感

をちゃんとクリアにしておく必要がある。

 

ありがとうって言われたい
笑顔になってもらいたい
感動させたい

その思いは
よく考えてみたら
今に始まったことじゃなくて
実は、あなた自身のお母さんに対して
感じてたことだったりしないだろうか?

だいたいの場合
それって小さいころに
お母さんに求めてやまなかったものだったりする。

でもきっと、得られないまま
あなたは挫折したのかもしれないね。

さらに言ったら

助けたい
救いたい
幸せになってもらいたい

そんな思いもあるかもしれない。

それもまた
お母さんに願ってやまなかったものだったりする。

でもきっと、果たせないまま
あなたは挫折したのかもしれないね。

そうするとね、
それを今度は崇高な理想の元に
他人に対して果たそうとするんだよね。

でもそれは、深いところで
果たせなかったことへの
リベンジ(復讐)になっている。

こんどこそは!
こんどこそは!
あの幸せじゃない母を
助けるのだ
笑顔にするのだ
幸せにするのだ

そのエンジンが
大人になっても無意識に回っていることは
本当によくあること。

それを多くの他人に向けて
シャカリキになってしまうのだよね。

それは一見愛のようだけど
根底には執着がある。

執着は、愛の純度からいうと
まだまだなんだと私は思う。

もちろん、プロセスとしては
それだっていいし、十分だ。

だけどそこからが修行。

だからこそ援助職を志す人は
その執着エンジンの核である
「母の顔色軸」を一旦リセットして

本当に自分自身一つに還って
「自分の喜び軸」で生きることにシフトするのが
大切な修行の一つであると思う。

カウンセラーとして、人様の話を聞き
心に触れる一瞬一瞬に喜びを感じるか。

ただその瞬間が本当に好きだったら
それは「やりたいこと」かもしれない。

そこには他人からの「もらう」が
存在する余地はない。

もちろん、結果として
ありがとうと言われ
笑顔になってくれて
感動してくれることは
あるでしょう。

それは本当にうれしいよね。

でも、それは最後の最後、
おまけみたいなもの。

そういうものは
ありがたく受け取って
あっさり手放す。

それくらいでいいのだと思う。

もちろん人間だから
手応えに充実感を感じたり
「自分がやった」という思いが
芽生えそうになることはある。

でもそれにも気づき
手放す、流す、忘れる
を心がけ続けること。

それが援助職の地道な修行だと思う。

これは前も書いたことがあるけど
仏教の言葉に次のような一節があります。

施して喜び、
施した自分と
施しを受けた人と
施した物と
この三つをともに忘れるのが
最上の施しである。

私はこの言葉がとても好きです。

そうやっていろんなことを
風のように流していけたら
いいなあと思います。

 

 

この記事を書いた人

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大塚 あやこ

経営者の認識変容ナビゲーター
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社 代表取締役
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
 
東京藝術大学作曲科卒業。演奏家・作編曲家として約20年、第一線で活動した後、人生の大きな転機を経て心理分野へ転向。2013年に心理カウンセラー/講師として開業し、個人相談、講座、企業研修などを通じてのべ3,000人以上の変容に携わってきた。

悩みや停滞の表面ではなく、その奥にある“無意識の前提”に着目し、根本原因に素早くアクセスする独自メソッド 「ビリーフリセット®」を確立。人がどのような認識で世界を見ているのかを見抜き、その変化を通して、存在と現実の両方を動かしていくアプローチを行っている。

わかりにくい心の構造を論理的に言語化する力と、本質を捉える俯瞰力・洞察力に定評があり、近年は特に経営者・リーダー層から高い支持を集めている。個人セッション、講座、企業研修のほか、後進育成にも力を注いでいる。
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