自己否定が強い人の心のしくみ。自分がダメな理由どれだけみつけてる?

Young man with lens

「だから私はダメなんだ」は順番が違う

多くの悩みや、問題、イライラ、モヤモヤ・・・の奥には
たいていの場合、無意識に「自己否定」があります。

自分ではピンとこなくても
そんなつもりがなくても
なんかわからないけどいつもしんどい思いをしているとしたら
無意識レベルに自己否定があるかも・・・?
と思ってみてもよいでしょう。

自己否定とは、ざっくり一言で言うと
「自分はこれではダメだ」という思いグセのことです。
つまり、自分への「ダメ出し」のことですね。

理由がそのあとにいくらでもついてきます。

あれができないから
これがないから
こうじゃないから
そうなってないから

だって
あの人にもこの人にもそう言われたし

あの時もこの時もそうだったし
結局いっつもそうなるし

・・・などなどなど

それらは一つ一つもっともらしい理由ってかんじがするので

だ・か・ら! これではダメなんだ!」
ほらー!やっぱり これではダメなんだ!

と思うわけですよね。
きっと、何度も何度も
そんな思いを味わってきたことでしょう。

これだけの「ダメな証拠」があるから
「ダメなんだ」という結論に至った。

「証拠」が先、「結論」が後。

という論理ですね。
多くの方が漠然とそんなふうに思っています。

でも、実はそれ違うんだ。

 順番が逆で。

ここ大事なんでもう一回。
順番が逆!

実は
これだけの「ダメな証拠」があるから
「ダメなんだという結論」に至る。

じゃないんです。

そもそも「ダメだ」という仮説があるから
「ダメだ」という証拠が集まって実証される。

ということです。

「仮説」が先、「証拠」が後。

これが、ビリーフリセット®の考え方です。

仮説を実証し、やがて前提になり事実になる

脳は「仮説」を立てたらそれを実証しようとします。
立てた仮説の通りにちゃんと証拠を集めてくるのが
脳の働きの特徴なのです。

私たちはすごーく幼い頃、なんらかの理由で
「自分はこれではダメなんだ」
という仮説を立ててしまいます。
ほとんどの場合、親との関わりの中でその仮説は立てられます。

仮説というと難しそうですが、
幼い本人にとってはそれはもう、
言葉を超えた情動レベルで
「ああそうなのね!こんな私じゃダメなのね!そういうことなのね!」
と思い込んでしまうのです。

事実はともあれ、です。
子供の幼い認識ですからね、
だいたいの場合それは誤解なんだけれども。

そのへんの背景や理由については今回は省きますが、
ともかく人生の初期に
一度は確かにそう思ってしまったことがある・・・・
それを仮説と言っています。

けれど、その初期の仮説っていうのはその時だけに終わらなくて
そのまま無意識レベルに潜って、
以降ずーっと継続してしまいます。

何年たっても、大人になってもです。
本人ぜんぜん気がついてなくても。
その「私はダメなんだ」の仮説は生き続けるのです。

その仮説の元に、数年、数十年にわたって
さまざまな理由や証拠がちゃんと集まってきて
「ほら、だからやっぱりダメなんだ!」
と証明し続ける・・ということになります。

それで「ダメな私の、ダメな人生劇場」ができあがってしまうのです。

それが自己否定の強い人の「心のしくみ」です。

さて、そんなことを繰り返しているうちに
「仮説」はもう仮説どころじゃなくなって
もはや当然の「前提」になってしまいます。

「自分はこれではダメだ」という前提が
まるで地盤のように自分の足元を支えているので
どうあがいてもその地盤から外には出られず
「やっぱりダメだ」という地盤の上でグルグルしているのです。

つまり
「ダメだ」という前提の上でモノを見ているから
「ダメだ」以外の場所に行きようがない
ということです。

だからこそ「前提」はもはや
「事実・真実」としか思えないくらい
強固なリアリティとなっていきます。

永久に「まだダメ」ループ

ためしにご自身にこう問いかけてみてください。

では仮に
「あれがないから、こうじゃないから」という
そのダメな理由を克服して改善して
本当に「ああ、もう大丈夫。もうOKね!」
って思えたことがあったでしょうか?

たぶんね、そう問いかけると

「いえ、まだ克服できてません。改善できてません。まだまだです!」
て言う人も多いんじゃないかな〜。

あるいは
「あの件や、その件は確かにちょっとは良くなったかもしれないけど、まだこれも、それもダメだから、まだまだOKじゃありません!」
て言う人もいるかもしれません。

つまり、このパターンの人は

やってもやっても
「やってない、できてない」と思う。

やってもやっても
次の「まだダメなところ」がみつかる。

永久に「まだダメ、まだダメ」と言っている。

そう、永久です。
残念ですがこの戦いに終わりは来ません。

これはもう、いくら「理由つぶし」をしてもなんにもならないんですね。
あとからあとから、理由なんで無限に湧いてきます。
実は問題はそんな「理由」の一つ一つなんかじゃないのです。

「ダメだ」が証明できるためだったら
ハッキリ言ってネタなんかなんだっていいのです。

それくらい無意識の「前提」というのは強固であり
そっちの方こそが問題の根源です。

ビリーフリセット®ではそのように考えます。

前提が崩れれば、自己否定は消えてゆく

悩みや問題、しんどいモヤモヤ・・・
あるいは「ダメな私の、ダメな人生劇場」
から本当に脱出したいと思うのだったら

「最初に立ててしまった仮説・前提」を問い直す

という考え方に切り替えるところからが第一歩です。

さらに
その「仮説・前提」が幼い子供の誤解であったことを
大人になった自分が心から納得する

というプロセスを経て
やっとその仮説が無効になり
前提が崩れていきます。

「なーんだ、そんなことで思い込んじゃったのか。
ハハ、カワイイなあ(笑)
ホントは違うから、もう大丈夫だよ〜。」

って、大人になった自分が
ちっちゃい自分のことをヨシヨシしてあげられたら

そして、そのちっちゃい自分が
「なーんだ、違うのか、大丈夫だったのかー!」

って、ホッとすることができたら

長年足をとられていた「自己否定」は
根底からジワジワーッと消滅していくでしょう。

そうすれば、もうそれ以上の「ダメな証拠探し」もする必要がなくなるので
「ほら、やっぱりダメなんだー!」
とガックリするような出来事も減ってくるでしょう。

よく言われる
「心が変われば、現実が変わる」とは
こういうことです。

もう一度まとめます。

「まだダメ、これでもダメ」という
「ダメな理由つぶし」をしてOKになろうとしても
それは叶わない。

そこはいじらなくていいから

そもそも「ダメだ」と決めてしまった
幼い自分の誤解を解こう。

これがビリーフリセット®の考え方です。

だから、こういう心理のワークでは
まず、過去に向かうことになるのです。

まずは過去の遺物を取り除くことで
現在の風通しをよくしていく。

それが心への取り組みにおいて
重要なステップとなります。

ちっちゃいころの自分が
いったい何を思い込んでしまったか。
これが自己否定の謎を解くカギということです。

 

この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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