
前回、
押してばかりいて、「聴く・受ける」がなかったのでは?
という考察をしました。
前の記事:
では、どうすればいいのか?ですよね。
実は、「受ける力」を取り戻す最初の一歩は、拍子抜けするほど簡単な、たった一言から。
その一言とは、これです。
「そうなんだね」
なぜ、たったこれだけのことが効くのか。
具体的なやり方の話をします。
実はできていない、傾聴
私は、経営者向けの講座で、必ず最初にやることがあります。
「傾聴」の実習です。
傾聴? 聴くだけでしょ。
できるよ。
そう思う方も少なくありません。
ところが、プロ目線から見たら正直、
「それでは傾聴になってない」ということが多い。
なぜか。
「受ける」というマインドになれないからです。
相手の言う内容をジャッジしてしまう。
頭の中が自分の考えでいっぱいになってしまう。
モノ言いたくなってしまう。
解決しようとしてしまう。
これ、全部「押す」側。
押していたら傾聴にはなりません。
だからこそ、「受ける」とはどういう感覚なのかを、一番はじめに体得していただく必要がある。
そこで、私が何よりこだわって繰り返しお伝えすること。
それは、
「そうなんだね」を言いましょう!!
ということなんです。

ストンと受け取る「そうなんだね」
相手の話を聞いたら、
第一声は、まず「そうなんだね」。
関西の方なら「そうなんや」。
丁寧な間柄なら「そうなんですね」。
肯定も否定もしていない。
同意も反論もしていない。
ということに着目してください。
この一言を言う、その瞬間
あなたの内側で
事の是非は、考えない。
好きか嫌いかも、関係ない。
「それは違う」も、「でも」も、
自分の考えは、いったん置いて
瞬間、ノージャッジ。
これがポイントです。
目の前の相手が、そう感じた。そう言った。
ただ、その事実だけを、ストンと受け取る。
それだけ。
これが、「まず受け止める」ということです。
もちろん、そのあとで、判断しても、意見を言ってもかまいません。
順番の話です。

バットで打ち返していないか?
よく、キャッチボールに例えます。
相手が球を投げてきたら、まず、グローブで受け取る。
これが「そうなんだね」ということです。
そのあとで、自分の球を投げ返す。
これが、対話の自然な流れになります。
ところが。
意外と多くの人が、球が来た瞬間に、バットで打ち返しています。
「それはこういうことだろ」
「でも、問題はそこじゃない」
「同じような経験が、私にもあって」
悪意は、まったくないですよね。
でも、投げた側は、どこかで「受け取ってもらえなかった」と感じています。
バットで打ち返すなら「敵」ですよね(笑)。
……戦いたいのか、わかり合いたいのか。
どっちでしたっけ、と。
「そうなんだね」を言ってもらってない
そして、実は——
「そうなんだね」と言ったことがほとんどない、という方が、とても多いのです。
ということは、裏を返せば。
「そうなんだね」と受け止めてもらった経験も、あまりない、ということです。
(前の記事で書いた話と、ここは地続きです。)
だから最初は、お互い、ちょっとぎこちない。
でも、1日かけて、
「そうなんだね」を言う役と、言ってもらう役を、交互に体験していく。
すると、毎回、不思議なことが起こります。
終わる頃には、みんなの表情が柔らかくなって、笑顔が増えている。
そして口々に、こう言うのです。
「この場は、安心だ」と。
「こういう場があってよかった」と。
「そうなんだね」を、繰り返しただけで、です。
私はこの変化を、講座のたびに見てきました。
ジャッジなしに、ただ受け止めてもらうという体験。
それだけで、人はこんなにもほぐれるのだ、と。
安心とは、こういうところから、静かに広がっていくのだ、と。

まずは実験してみよう
そしてこれは、講座の中だけの話ではありません。
あなたの職場でも。
家族との食卓でも。
一対一の会議室でも。
同じことが、起きる可能性があります。
これはとてもやりやすいので、皆さんもやってみませんか?
今日、誰かがあなたに話しかけてきたとき。
無意識に「あー、それは◯◯!」と言い放つ前に、ちょっと待って。
まず、「そうなんだね」(そうなんや)と、声に出してみる。
その人の表情が、少しだけ、変わるかもしれません。
その表情を見て、あなたの中から、今までと違う一言がふっと湧いてくるかもしれません。
それが、人と人との間の化学反応の面白いところ。
小さな実験と、観察。
おすすめです。

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