
これだけ手を尽くしているのに、どうして
「部下に、もっとやる気を出してほしい」
リーダーなら、当然そう思います。
だから考える。
どうすれば、みんながやる気になるのか、と。
目標を示す。ゴールを描く。
行動計画を立てる。
うまくいった事例を共有する。
「どうすればできると思う?」と問いかける。
「できるよ、やれるよ」と励ます。
それで動く人もいるでしょう。
うまくいくこともあるでしょう。
しかし、「はい」と返事はするのに、なぜか士気が上がらない人がいる。
模範的な答えは返ってくるけれど、熱量が乗っていない。
本当に大丈夫か?と言いたくなる、もどかしさ。
これだけ手を尽くしているのに。どうして。
何が、足りないのか。
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さて。
何が、足りていないのでしょうか。
ここで、あえて言い切ってみます。
「聴く力」が足りていない。
あなたは、「聴いて、受け取る」を、
やっていない。
そんな可能性はありませんか?
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もう一度、さっきの打ち手を見てください。
目標を示す。計画を立てる。
事例を共有する。
問いかける。励ます。
これ、全部、自分が「言う・働きかける」行動です。
つまり、全部「押す」側。
押せば、動く。
動かすには、押せばいい。
私たちは、驚くほど無意識に、それを当たり前だと信じてきました。
だから、何を言うか。どう言うか。どうやらせるか。
考えることが、全部「自分が押す」側の話になる。
見事に、「押しの一手」だった。
まずは、そこに気づいてほしいのです。

「聴く・受け止める」が先
私たちはこれまで、教わってきませんでした。
人が元気になるには、まず「聴いてもらう」ことが必要だ、ということを。
聴いてもらう、受け止めてもらう。
それに、どれほどの力と価値があるか、ということを。
人は、聴いて受け止めてくれた相手にだけ、心を開きます。
「大丈夫だ」という信頼が、心に満ちるからです。
大丈夫でなければ、人は心を開くことができません。
心が開いて、はじめて、 内側の意欲や情熱が、自然に湧き出してくる。
そして、心が開いて意欲が動き出したからこそ――
指示も、目標も、励ましも、その人は自分から受け取り、自分のものにしていける。
この順番なんです。
この「受け止める」段階を飛ばして、 押しの一手だけで動かそうとしても、心は動きません。
行動は、心が動いてこそ、実のあるものになる。
「やるか、やらないか」だけの話ではない。
心から動くのか、心にもないまま仕方なくやるのか。 この違いは、大きい。
「とにかくやればいいんだ」だけでは、心がついてこないのです。
かつては、それで動きました。
「つべこべ言わずやる」で、みんなやれてしまった時代が、確かにあった。
でも、もう違います。
若い世代ほど、「自分は受け止められているか」に、驚くほど敏感です。
押されるだけでは、動かない。動けない。
これは、彼らがわがままなのではありません。
時代の感受性が、もう次に来ている、ということです。
リーダーが感じる、あの「わかってはいるみたいだけど、覇気がない」 というモヤモヤ感。
その正体は、たぶん、これです。
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「押す力」と、対になる、もう一つの力。
聴くことを含めた、「受ける力」。
その、欠如。
ここが、盲点だったのです。

「聴いてもらう」を知らない社会
これは、あなたが悪い、という話ではありません。
なぜなら、あなた自身もまた、
ジャッジされずに、心から聴いてもらい、受け止めてもらった経験が、 ほとんどないのですから。
現代社会そのものが、 「押す力」ばかりを過剰に使い、 「受ける力」をごっそり欠落させたまま、発展してきました。
その構造の、当然の結果です。
あなたの親も、学校の先生も、職場の上司も、先輩も。
みんな、聴いてもらってこなかった。 受け止めてもらってこなかった。
受け止められたとき、人はあたたかくなります。
心がイキイキと動きだし、内側から力が湧いてくる。
——でも、その感覚を、実際に味わったことのある人が、どれだけいるでしょうか。
正直に振り返ってみてください。
あなた自身、心から聴いてもらい、まるごと受け止められた記憶が、いくつありますか?
ほとんどの人が、思い当たらない。
それが、現実です。
してもらったことのないことは、できない。
してもらったことがなければ、その価値も、わからない。
当然のことです。
これまでは、そういう社会だった。
仕方がなかった。

次の時代を開く、力
でも、もう、その社会は卒業していい。
「押す」と同じだけ、「受ける」の価値を、認識して取り戻す。
私たちはそれを始めることができます。
みんながイキイキし始め、 自分の熱量でアイディアが湧き、動き、結果を出し、共に喜ぶ。
そんなチームを、会社を、あなたが本気で作りたいのなら。
鍵は、「聴く」と「受け取る」。
「押す力」と同等の、「受ける力」の回復。
そして、この2つの力が、循環すること。
これこそが、次の時代を開く、最強の力です。

では、どうやって?は次で
では、その「受ける力」を取り戻す、いちばん最初の一歩は、何か。
それは、拍子抜けするほど簡単な、たった一言から始まります。
その一言と、それだけで場が変わっていく様子は、実践編でお話しします。
→ 実践編・続きはこちら
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