泣いてる人に「泣かないで」はなぐさめになってないのよ

tear

目の前の人が泣いてしまったらどうする?

たとえば、誰かとしゃべっていて
話の流れから、その人の感情が込み上げて
その人が思わず涙したら・・・

涙・・・だけではすまずに
明らかに泣いてしまったら・・・

どんな気持ちになりますか?

もちろん、状況にもより人それぞれとは思いますが
多くの方は、少しあわてちゃうかもしれませんね。

え、、ちょっと。。
泣いちゃったよ、どうしよう・・

うわわ、涙ですか・・・まいったな

とか?

なんか、
対処できない状況になっちゃったような気がしたり
見ちゃいけないものを見ちゃった気がしたり
自分がいけないことしたような気がしたり
するかもしれませんね。

そうすると、次にあなたは
どんなことを言ったりしたりするでしょうか?

「そんな〜、泣かないでよ〜」
「なんだ、そんなことで泣くなよ〜」

ってあわてながら言うかなあ。

なぐさめようと思って
「わかったから、泣くなよ」
「そんなふうに思わなくて大丈夫だよ、泣かないで。」

とか言うかなあ。

はたまた
何もできなくなって固まりますか?

「泣かないで」はなぐさめになってない

人の涙。人が泣いてしまった時。
難しいですよね。
ちょっと、ビビりますよね。

多くの人がやりがちなのが
「泣きやんでもらおう」として色々言ってしまうこと。

でも実は、それ
あんまりなぐさめになってないんです。

なぜなら、上の例で挙げたような態度は
すべて
その人が涙したこと、泣いたことを
「いけないこと」という前提でとっている態度だからです。

「泣かないで」「泣くなよ」という言葉は
暗黙に
泣いているその人の感情を否定するメッセージとなっているのです。
意識してなくてもね。
否定されると、あんまりホッとできませんよね。

多くの方は、当たり前のように
「泣くのはいけないこと、よくないこと」だと思っています。

泣くのはいけない、悲しいのはいけない。
にもかかわらず、この人は泣いちゃった。
だから一刻も早く、いけない状態でなくなってほしい。
泣くほどの状態から、抜け出させてあげなきゃ!
って反射的に思うのでしょうね。

だから、なぐさめのつもりで
やさしさのつもりで
「泣くな」とか「泣かないで」とか
「そんなふうに思わなくて大丈夫」とか言って、
泣くのをやめさせようとしちゃうんですよね。

でも、実はね。
それだと、泣いてしまった本人としては
ちっとも気持ちを受け止めてもらった気がしないし
それどころか
自分がその時感じた気持ちや、泣いてしまったことを
「いけない」と言われているようで
よけいに気持ちのやり場がなくなるのです。

あなたがバツが悪そうにすることで
泣いたその人も、ますますバツが悪くなるでしょう。

はっきり言って
「大丈夫だよ、泣かないで」は
なぐさめになってないんですよ〜(^ ^;;

カウンセラー的、涙の受け止め方

カウンセリングの場では感情を扱うことが多いので
もちろん、涙される方もたくさんいます。

涙は、その方の感情の自然な表れなので
カウンセリングの場では、全然OKなのです。
むしろ「出てきてよかったね〜」なんです。

私は、人が涙しても、大泣きしてもビビることはありません。
「そうかあ〜、そうだったんだねえ。そうだよねえ。」
とひたすら肯定して寄り添います。

涙する人、泣いている人にとって
いちばん必要なことは
「そう感じていることを肯定してもらうこと」です。

肯定してもらえると
存分にその感情を味わって昇華することができます。

不思議に思われるかもしれませんが
どんなネガティブな感情でも
ちゃんと感じて味わって表現することで
発散され、浄化され、昇華していくのです。

そうすると自然にスッキリしていきますから
恐れることはありません。

だから、感情はちゃんと感じるのがコツ。

涙する方、泣いている方に対しては
安心して存分に、
その気持ちを感じて味わう時間をさしあげることが
いちばんいいのです。

そのためにこちらができることは、
肯定して、側にいることです。

涙が出てきても大丈夫。
泣いても大丈夫。
そういう空気を作ってあげることです。

「泣かないで」じゃなくて
「そうか。そうか。そうなんだねえ〜。」
と言ってみましょう。

相手の方が「悲しかった」とか言っていたとしたら
その言葉をそのまま
「悲しかったんだねえ。そうだよね。」
と言ってみましょう。

「くやしい」と言っていたとしたら
「そうだね〜。くやしいねえ。」
と言ってみましょう。

なんにも言えなかったら、
「うん。うん。」とうなずいて
優しい目で見守るだけでもいいのです。

差し支えがなさそうなら、
そっと背中に手を当ててあげてもいいですね。

そういうたたずまいで、ただ側にいてくれることが
とてもなぐさめになります。

もちろん、日常生活はカウンセリングの場とは違いますし
それぞれの状況によって、いろいろあるとは思います。

泣くことを武器にしているような人の場合や
お互いの責め合いの末に泣かれた場合など、
またちょっと違う対処が必要な場合もあるとは思いますが

とりあえず、今日はまず一つ。

相手が思わず、感情がこぼれて涙したような場合。

まず、泣くことはいけないことではありません。
泣いても大丈夫です。

そう思ってみて。

そして「なぐさめなきゃ!」とがんばらなくていいんです。

泣きやまそうとするのではなく
「肯定して、側にいる」という方法を
ぜひ、頭の片隅においてみてほしいなーと思います。

きっと相手の方は
すごーく安心できると思いますよ。

この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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