この世はそういう場所なんだよと腹を括ることから救いが始まる

 

この世界をどう観るか。

世界観。

 

人間という存在をどう観るか。

人間観。

 

どちらの方からどう観るかは本当にあらゆる方向あって、どれが正解ということはありません。

どれを採用するかも自分の選択です。

 

その上で今日は、私なりの一つの世界観・人間観を語ってみたくなりました。

とても仏教的な視点で、まあ重いと言えば重いです。

しかし「人の心の救い」というところから考えた場合、これが一つの救いになる場合もあると思います。

私自身はけっこうこの観方は好きですね。

 

さて、ではいってみましょうか。

 

それがこの世という場所

 

仏教では「忍土(にんど)」という言葉があります。

これはサンスクリット語の「サハー(娑婆)」の意味を訳した言葉で

「苦しみに満ちた、耐え忍ばなければならない場所。それがこの世という場所である。」

という意味が込められています。

 

私はこの見方に、全くその通りであると共感します。

 

以前、とあるスピリチュアルマスター的な方が「地球はせつない星」と言っていました。

それも「忍土」と似たような感覚でなるほどですが、

私の実感はもう少し違います。

 

地球そのものは美しく素晴らしい星。

人間さえいなければ。

人間がせつない生き物なのだ。

地球じゃなくて、人間が「せつない」のだ。

そのせつない人間が「せつない星」にしてしまった。

 

 

私はそう感じます。

 

人間はせつない生き物。

 

苦しみの構造の中に生まれ

構造と知らずに苦しみながら生きて

苦しんでいることにも気づかずに

構造の中で死んでいく。

 

まさにお釈迦様の言う「四苦八苦」。

生まれて生きるというそのことからして、そもそも苦である

とはこういうことだと思います。

 

そんな「人間私たち」が生きる舞台が、この忍土ということです。

 

いい悪いじゃなくて、もうそういうもんなんだよね。

と、腹を括ったらいいと私は思うのです。

 

 

一人で背負っているのではない

 

カウンセラー/講師として、たくさんの方の人生や家族を紐解いていくと、

そのことを痛感せざるを得ません。

 

あらゆる問題、悩み、苦しみ。

それは、その方一人の問題として個人的に発生して、個人として背負っているものではないのです。

 

諸法無我。

 

網の目のようなつながりと経緯(いきさつ)の絡み合いの上に、生じていることです。

 

「今苦しんでいる自分」という、一人のあなたのその背後には、

両親、祖父母、曽祖父母、親類縁者、ご先祖様・・・という血脈が控えています。

苦しみの連鎖は、そういうところからも流れてきます。

あなたが苦しんでいるのだったら、そのはるか何代も上から、何人もの人が同じように苦しんでいるのです。

 

そしてその家族の周りには、地域・地方・国土・・・という地縁が控えており

ここからも、集合的無意識が流れ込んできます。

あなたの家族が苦しんでいるのだったら、いろんなところで同じような家族が同じように苦しんでいるのです。

 

さらに、業界・社会・経済・政治・国家・国際・・・というシステムが組まれ、その中でしか生きられない構造になっている以上、

その枠組みの中でガッチリと無意識領域が規定され、個々人がその枠組みに埋め込まれることの苦しみから逃れる術はなかった。

それがこれまで永らく続いた時代の現実でした。

 

ですから、この時代この地球に人間として生まれるということは、もうそういうことなのです。

これが「忍土」でなくて何でしょうか?

 

 

苦しみの理由を知ることが「脱出」の一歩

なぜ、こんな絶望的な話をしているのかというと

 

「ここはそういう場所なんだ」と俯瞰して見切ること、そして

「人間はこうやって苦しむものなんだ」と大局的・構造的に自覚することが、結果として

あなたが今一人で「私の悩み」として苦しんでいる悩みの渦中からふわりと浮上させ、

脱出への道をつけていく手がかりの一歩になるからです。

 

逆説的なようですが、そのことが「救い」につながるからです。

 

ビリーフリセットという心理学体系は、まずは「人間の恐れと苦しみの理由」を徹底的に知ることから始まります。

 

苦しみの根底には「恐れ」があります。

恐れゆえに、複雑に築き上げた論理の牙城、鉄壁の防衛の城廓。

それこそが無限の苦しみを生み出す理由であることを、やがて識るでしょう。

 

 

そこには明確な理由と構造があるがゆえに、「学んで識る(しる)」ということが可能なのです。

 

自分という人間を題材に、恐れと苦しみの構造を実感・認識していくことが、

人間という存在そのものの、恐れと苦しみの構造を実感・認識していくこととイコールになります。

 

その歩みを進めていくと、大切な気づきに行き着きます。

 

それが

「私だけじゃなかった」

という気づきです。

 

ああ、お母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、みんなも・・・・

 

あんなに優しくて絶対安心だと見えたあの人が

あんなに強く大きく見えたあの人が

あんなに輝いて羨ましく見えたあの人が

あんなに恐ろしく憎たらしく見えたあの人が

あんなに無力で愚かに見えたあの人が

 

人間として同じ苦しみを抱えて生きていたことに、目が開かれていくのです。

 

本当は愛してほしかったのに
ちっとも愛してくれなかった
あの人も

本当は認めてほしかっのに
ちっとも認めてくれなかった
あの人も


この苦しい自分の心の渇きを
もたらした元凶だとさえ思ってきた
あの人も

 

その人もまた元々は、愛してほしくて認めてほしくてたまらなかった、心の渇いたけなげな子供であったことに、目が開かれていくのです。

 

人は恐れ、人は渇き

人は苦しむものである。

 

それを自分の心の内に観て、
腑に落ちて識った時、

 

あんなに巨大で恐ろしかった「他人」や「世間」や「みんな」というものが、実はモンスターでもなんでもなく

等しく皆、恐れ、渇き、苦しみながら

それでも懸命に生きている「人間」という存在であったことが見えるようになるのです。

 

 

同苦同悲(どうくどうひ)。

 

私も、あなたも、みんなも、おんなじだったね。

苦しかったね。

悲しかったね。

人間だものね。

の心。

 

それでも、精いっぱい

生きていたね。

十分やったね。

愛だったね。

の心。

 

それは、悲しみをあたたかく抱き止める「慈悲」というものであり

そのことを「赦し(ゆるし)」とも言ったりするのかもしれません。

 

その心を識ったとき

あんなに苦しんでいた「私の苦しみ」・・・

「恐ろしい世界」で身を縮め

他人を恐れ、他人を裁き、
他人におもねり

自分を貶(おとし)め、
自分を裁き、自分を偽る

 

そんなことの繰り返しで恐れと我慢と不自由が延々と続く、苦しみのループ(輪廻)から

いつの間にか脱けていることに、きっと気づくでしょう。

 

同時にそれは

こんな世界の中でもお互い
懸命に生き合っていること

に目が開かれることでもあるのです。

 

こんなに、けなげだったのか。

こんなに、素敵だったのか。

こんなに、優しかったのか。

こんなに、大丈夫だったのか。

 

居ながらにして、生きる世界が変わっている。

これが「救われる」ということではないでしょうか。

 

 

そしてこの道は、それで終わりではありません。

脱けられたら終わり、ではありません。

 

むしろ、スタート。

ここからが本当に「自分を生きる」ステージの始まりです。

 

自分が自分として、力を発揮して、輝きを発して、この世界に光を灯す。

あなたの光が、他の誰かの光になっていきます。

 

皆が苦しむこの世の「忍土」であるからこそ、あなたがその光で照らすことの意味があるのです。

 

それが、苦しんだ自分だからこそ輝かせることができる

「私のいのち」であり

「この世の仕事」。

 

それを天職とか
あるいは天命とか使命とか、
言うのかもしれないし

 

そんな仕事に憧れる
という気持ちがある方は

私たちの仲間かもしれません。

 

この道のりを、着実に歩いてゆく講座。

8期ビリーフリセット・リーダーズ講座(BLC)は4月から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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