すべては「説」である。思考回路進化の4段階

 

人の言っていることは
1つの「そういう考え」であり
「説」である。

それが実際の
「人」ではなかったとしても。

仮に「テレビ」や「新聞」や
「政府」や「専門家」であったとしても。

そこで言われていることは
そういう1つの「説」である。

ものごとをそういうふうに見る力が
これからの時代、本当に重要になる。

旧時代は「かぶり思考」が多かった

たとえば

マスクをすれば、感染が防げる

これは1つの説である。

マスクをしたって、感染は防げない

これも1つの説である。

 

外出しないことがみんなのためだ

これも1つの説である。

活動して経済回すことがみんなのためだ

これも1つの説である。

 

じゃあどっちが正しいの?
どっちが真実なの?

それが、旧時代の思考のしかた。

どちらかがマルで、
どちらかがバツ。

コッチが正しかったら
ソッチは間違い。

なぜなら正解は一つだから。

という思考回路。

こう考えている時、
自分は、その「正解」を
当たり前に本当だと信じている。

いや、本人は
「信じている」というつもりもなく

だってそれが本当でしょ!

と確かに思っているのだけれども。

つまり、それがAという説なら
Aという説と自分が
自覚なく一体化している状態だと言える。

一体化というのは
たとえるなら、着ぐるみのように
頭から全身「かぶっている」かんじ。

これを「かぶり思考」と名付けてみる。

この「かぶり思考」をしている人が
先ほどの「マスク論議」をするなら
片方だけを正解として
もう片方を間違いとするだろう。

マスクの件に限らず
こういう思考回路をしていることが
いつの世も争いの元であることを
私たちは嫌というほど
見ているはずである。

自分で選択する、眺め思考

さて、では少し進化型の思考回路。

それを「眺め思考」と言ってみる。

 

マスクをすれば、感染が防げる

そうかもしれないねー。

マスクをしたって、感染は防げない

それもそうかもしれないねー。

 

いろんな「説」を聴きながら

そう言ってる人もいるよねー。

そういうところもあるよねー。

と受け止め、最終的には

まあ、わからないけどねー。

と、フラットに眺めて

「で、自分はこっちを選ぶなー」

と自分の感覚で選択する。

 

「かぶり思考」との大きな違いは

1つの説をかぶっていないこと
である。

誰かの言っていること、
どこかで言われていることを
それぞれ1つの「説」として
まずは外側から眺められる
ということである。

なぜ、かぶらずにいられるかというと

正解・真実など、わからない
もしくは、ない
という前提に立てるからだ。

この思考回路が可能になるためには
「わからない・ない」という状態に
踏みとどまる力が必要である。

正解がないことに
耐性があること。

と言ってもいい。

その「わからないけどねー」
という場所に立つからこそ
全てが1つの「説」であると
眺めることができるのだ。

そして重要なことは
そうやって眺めた上で

自分が選択する。

ということ。

鵜呑みにするのでもなく
思わされるのでもなく

自分が思い考えることに
自覚的になる

何を信じるか、も
自分で自覚的に選択する

ということなのだ。

こういう力を、別名
マインドフルネス
という。

この力を使えている時点で
漠然とした不安や恐怖や
感情のアップダウンなどからは
一歩引いた「心の安定」を得ているはず。

そして「自分が選択している」
という自立の感覚

自分が自分の主導権を握っている
安心感とゆとりも得るだろう。

「かぶり思考」で生きている次元とは
全く違う場所に立っているのである。

さらに発展型、パラレル思考

そんな「眺め思考」ができている前提で

さらに
「パラレル思考」というのもある。

それは、複数の説を同時に
自分の中に置いておけること。

A説、B説、C説、D説・・・
どれも一理を認めつつ

自分ならではの配分で
違う説を同時に留めながら

自分の感覚で選択し
自分の創造をしていくこと。

 

 

このパラレル思考は
異質なものを否定しない
ということでもある。

どれにもそれぞれの立場から
一理がある。
どの説もあっていい。
と思えること。

その上で、重要なのは
「で、自分は」というところである。

ここでの指針は、自分の感覚

それを元に、自分の選択

いろんな可能性を
パラレルに見たところで
思いつく、自分の創造

「眺め思考」の特徴である
自分が選択する
ということに加えて、さらに

もっと自分の創造性、
オリジナリティが発動するというわけだ。

これができるようになると
人生、楽になるばかりか
もっと面白くなる。

「説」の奥を観じる、立体思考

さらに、今の私の想像力では
ここまでが限界なのだが
さらに「立体思考」というのもある。

これは、ものごとの実相とは
まるで地球儀のように
立体である、ととらえること。

だから人間一人の小さな視点で
一度に全体をわかりきれるものではない
ということである。

どの説も、大きな立体の一方向から
全体の一部を切り取って
語ったものにすぎない。

そうとらえるならば、

無数の「説」を貼り合わせてみたその奥に
言葉では語ることのできない
「全体」というものがあるのではないか。

私たち人間は、それをかろうじて
「感じとろう」とするくらいしか
できることはないのではないか。

丸いものを「まるっと」感じながら、
結局私たちにできることは

「で、自分どうする?」

ということだけである。

 

さて、そんな
思考回路に「進化」があるとしたら
こういう感じではないか
ということを考察してみた。

こういうふうに
思考回路が進化すれば
きっと世界は
もっと平和で豊かになるだろう
と私は思う。

しかし、これもまた
「どれが正しい」というものではなく

この考え方が真実というわけでもない。

 

すべては「説」であるのだから

自分はどれが心地よい?

自分はどれでいく?

と、選択して決めること。

結局、そういうことです。

 

 

この記事を書いた人

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大塚 あやこ

心理カウンセラー/講師/音楽家
一般社団法人ビリーフリセット協会 代表理事
ビリーフリセット・クリエーションズ株式会社代表取締役
 
東京芸大作曲科卒。演奏家・作編曲家として20年間第一線で活動後、燃え尽き体験をきっかけに人生の転機を経て心理カウンセラーに転身。
悩みの根本原因に素早くアクセスする独自メソッド「ビリーフリセット®」を確立。個人相談から企業研修まで幅広く展開し、協会認定カウンセラーを多数輩出。Udemyオンライン講座「はじめての傾聴」は2万名超の受講者を誇る常時ベストセラー。 心の構造を論理的にモデル化する独自アプローチが、ビジネスパーソンから高い支持を得ている。

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